《今振り返る》ギターアンプの名器「VOX AC30」2017年5月31日

復刻された数々の「VOX AC30」

JMI時代のいわゆるオリジナルAC30は、ビートルズの音色で聴けるように、はじけるような高音と粘っこい中域が印象的でした。90年代に入り、ローズ・モーリス社の最後期に登場してコルグに引き継がれた「AC30/6 TB」は、そのサウンドをそのまま踏襲したもので、音色的には厳然たる復刻モデルと呼べるものです。ポール・マッカートニーがライブに使用していたことでも有名なこのモデルは、下記に記す現代的なモデルとも違ってマスターボリュームさえなく、良くも悪しくも往年のオリジナルを彷彿させるものです。コルグ時代のものは現在でも中古で手に入りやすいでしょう。

コルグ傘下になってからは「AC30CC(Custom Classic)」「AC30C(Custom)」そして「AC30HW(Hand Wired)」と、復刻モデルが次々とリリースされています。Custom Classicは音色からコントロール類に至るまで、現代的な味付けを色濃くしたモデルであり、それと入れ替わりにラインナップされたCustomはよりオリジナルに近い印象を与えるものになりました。この二種は現在AC30を見かける際には、もっとも多いモデルです。Hand-Wiredモデルは基板を使わず全てを手作業で配線した高価なモデル。音色も現在新品で手に入るAC30としては最高のもので、まさに現代AC30のトップと言える存在です。

AC30C(Custom)シリーズ

AC30オリジナルの音色と傾向をそのままに、細部を現代風に練り直されたAC30 Custom。下に述べるCustom Classicシリーズが販売終了した後の展開となり、2017年現在での現行となります。CC版に比べると、スイッチの数も減り、シンプルに回帰した印象を受けます。サウンドもオリジナルのものに近づき、いわゆるVOXらしい音を出力します。

真空管はEL84、ECC83と、オリジナルからの系譜を受け継いでいますが、整流管はソリッドステートに置き換わっています。スピーカーにはよりモダンな音に適したセレッションのグリーンバックスピーカー(AC30C2)か、あるいはオリジナルに忠実なアルニコブルースピーカー(AC30C2X)のいずれかを選択。Custom Classicシリーズ同様、アンプヘッド版のCHや、AC30ではなくAC15のCustom版など、多岐に渡る展開がなされています。

AC30C2、AC30C2X

AC30C2 AC30C2

NORMALとTOP BOOSTがHIGHとLOWの各2系統ずつ、併せて4系統となりました。ブリリアント・インプットを模したような機能は見当たらず、CCに比べるとトップのコントロール類も相当にシンプルに絞り込まれています。もちろん現代のアンプでは必要不可欠なエフェクト・ループやリバーブなどは完備。

VOX AC30C2
VOX AC30C2X

AC30CC(Custom Classic)シリーズ

オリジナルの音色を意識した上で、現代風の使いやすさをも内包した復刻版AC30。2000年代中期から5年ほどラインナップされていました。ACオリジナルのブリリアントインプットを模したブリリアンス・スイッチ、チャンネルリンクを模したインプット・リンク・スイッチなど、オリジナルAC30を意識したオプショナルな回路を搭載。真空管にはECC83、GZ34、EL84が使用され、JMI時代のモデルと全く同じ仕様となっています。

当時からの伝統的なトレモロエフェクトはそのままに、現在では見かけることもなくなったトレモロ専用のインプットは排除。2系統のインプットに絞り込まれましたが、オリジナルには存在しなかったマスター・ボリューム、スプリング・リバーブ、エフェクト・ループ、外部スピーカーへのエクスターナル・アウトなど、現代風の装備が新たに搭載され、劇的に使いやすさを増しました。

サウンドの傾向はオリジナルっぽさを内包しつつも、現代的なものに落ち着いている印象。ゲイン幅もかなり広く、ドライブサウンドもお手のものです。オリジナルに忠実であることに強いこだわりがないのであれば、使いやすいモデルと言えるでしょう。2010年ごろまでの販売であり、販売終了してからそれほど時間も経っていないので、様々なところで見かけることがあります。

AC30CC1

12インチ1発のスピーカーを持つCC1モデルは、ネオジウム素材を使用したセレッション製 “Neo-dog”スピーカーを使用。CCシリーズでもエントリー的な位置づけですが、レンジの広いそのサウンドはスピーカーの良質な特性がそのまま表れています。

AC30CC2、AC30CC2X

12インチ2発のスピーカーが搭載されたCC2とCC2X。CC2にはVOX純正のGSHスピーカーが使われ、メローな高域とタイトでレスポンスの良い低音が持ち味。CC2Xにはオリジナルと同じくセレッション・アルニコブルースピーカーを搭載。オリジナルのようにはじける高域を望むなら最適な選択でしょう。

AC30CC2H

AC30CCのヘッド。スピーカーの搭載はありませんが、VOXを好きなキャビネットに繋げる楽しみも得られます。純正のキャビネットにはGSHスピーカー、アルニコブルースピーカーを搭載した3種が存在し、VOXらしい音をスタックアンプから得ることができます。

AC30VR(Valve Reactor)

VOX AC30VR

VOXがマルチエフェクター「Tone Lab」でも培ったモデリング技術のValve Reactor回路を搭載したモデルが「AC30VR」、プリアンプ部をディスクリート、パワーアンプ部に真空管を搭載したハイブリッド・コンボアンプです。通常プリ部に使用する12AXをパワー部に使用し、Valve Reactor回路によってパワー管同様の挙動をさせるという技術を用いており、これがVRの由来となります。

サウンドはクリーンと2種のドライブチャンネルの計3系統。ノーマルのクリーンチャンネルでは滑らかでブライトなVOXらしいクリーントーンを得ることができ、ドライブはクランチからハードオーバードライブまで幅広い音作りが可能です。スピーカーはセレッションのオリジナル12インチを2発。AC30という名は付いているものの、フルチューブではなく、値段も練習用アンプ並みに抑えられており、直系と言うよりは傍系と捉えられるモデルと言えますが、音色はAC30の良いところをうまく引き出した優秀なアンプです。フルチューブのAC30が高価で手が出ない、練習用として気楽にAC30の音が欲しいなどといったニーズには最適なアンプであり、12インチx2、30Wの出力は通常のライブでも実用に耐えるため、自宅練習用およびライブ用としても十分に使えるでしょう。

VOX AC30VR

AC30HW(Hand Wired)

AC30HW ビンテージなフォーン・カラー・バイナルを採用した「AC30HW」

「AC30HW」は全てを手作業(ハンドワイヤード)で配線した、非常に手の掛かったモデル。当然ながらAC30のなかでもフラッグシップとも呼べるモデルであり、一切の妥協のない音色を目標としています。2018年現在、HW2シリーズが現行品です。

AC30HW2、AC30HW2X

配線を全て手作業による空中配線にしている以外に、Customモデルでは排除された整流管が復活。GZ34というオリジナルとおなじ真空管が採用されました。他のモデルと同じく、Xの付く方はグリーンバックスピーカー。無印の方はアルニコブルーを採用しています。

VOX AC30HW2
VOX AC30HW2X

AC30S1

Vox AC30S1

2018年6月に登場した「AC30S1」は、AC30からノーマルチャンネルを排しトップブースト・チャンネルのみにフォーカスした、シングル・チャンネルのコンボアンプ。プリ管に12AX7を2本、パワー管にEL84を4本を搭載した本格的なフルチューブ仕様ですが、歴代AC30派生モデルの中でも手に入れやすいリーズナブルな価格帯となっているのが特徴です。出力は30W、エフェクトループ/外部スピーカーアウト端子を装備し、現代的なニーズに応えています。従来モデルよりも小型軽量となり、AC30の本格的なサウンドがより身近に感じられるモデルです。

Vox AC30S1

AC30のサウンドが手に入る現代の機材

VOX MV50シリーズ

Nutubeという極小チューブの開発を軸として生み出された新しいシリーズ。非常に小さなアンプヘッドであり、500gの重さで50Wの出力は凄いの一言。チャンネルは単一であり、CLEANとROCK、そしてAC30の音を模したACという3種がラインナップされました。ACモデルはVOXを中心としたブリティッシュ系アンプのもっとも美味しいところをうまく引き出したような極上のクランチトーンになっており、初期ビートルズ的なパンチの効いたノーマルトーンから、ロックブルースなどに最適な気持ち良いコンプ感が得られる歪みまでをカバー。軽量、安価で素晴らしいサウンドが得られ、ライブから自宅練習まで様々な用途に使えるでしょう。

VOX MV50

VOX MVX150シリーズ

VOX MVX150シリーズ

MVX150シリーズは、MV50シリーズと同様に小型真空管「Nutube」を搭載したVOXの真空管アンプシリーズ。VOX Nutube搭載アンプの中でも最上位機種となる製品です。

  • アンプヘッド「MVX150H」
  • コンボアンプ「MVX150C1」
  • MVX150H対応のキャビネット・スピーカー「BC112-150」

という3機種がラインナップ。コンボアンプ、アンプヘッド共に小型ながら150Wの大出力を誇ります。

パワーアンプ部はNutubeとソリッドステートを組み合わせた「NuPower」技術を取り入れ、真空管アンプならではの生々しいダイナミックなレスポンス/トランジスタアンプならではの広い周波数特性をあわせ持っています。これによってクリーントーンからモダンハイゲインまでの激しい歪みに対応する2ch仕様と幅広い音作りに対応、VOXらしさを持ちながらも幅広いジャンルに対応するサウンドが1台で得られます。

VOX MVX150シリーズ

MINI SUPERBEETLE MSB25

Vox MINI SUPERBEETLE MSB25

MINI SUPERBEETLE MSB25は、ザ・ビートルズがUSAツアーで使用したVOXスタックセットを、Nutubeを使用してミニチュアサイズに落とし込んだ製品です。60年代王道ロックサウンドを再現したいという人や、ビートルズの熱烈なファンにはたまらない逸品です。自宅インテリアにも相応しいレトロなルックス。深夜の演奏にも対応できるようヘッドフォン端子を搭載、小型といえど50Wの迫力あるサウンドが得られます。

VOX MINI SUPERBEETLE MSB25

KEMPERでAC30のモデリングサウンドを使うという手も…

現代技術の申し子たるKEMPER Profiling Ampにも勿論AC30のモデリングが含まれています。他のモデル同様、軽く聴いている限りほとんど差は感じられず、KEMPERの出来のすさまじさばかりを感じてしまうモデリングとなっています。オリジナルのAC30が実質的に手に入れられない現在、あるいはもし手に入れたとしても、アンプの本来の実力を発揮するためボリュームを全開近くまで上げるなどほぼ不可能であり、オリジナルAC30の音を手に入れる方法としては、実際にもっとも現実的と言えるかもしれません。

未来のギターアンプを手に入れよう!プロファイリングアンプKEMPERについて

最終更新日 : 2018/11/05
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