HDRX 100は、ジミ・ヘンドリックス本人がウッドストックで使用したとされるヴィンテージ・アンプを元に開発されたチューブ・ヘッド・アンプです。PRS社の手によって、ヴィンテージのサウンドと高い耐久性や利便性を兼ね備えた、まさに理想の一台へと生まれ変わりました。


シアトルのThe Museum of Pop Cultureから貸与された、かつてジミが所有しウッドストックで使用したとされるアンプをPRSの創業者、Paul Reed Smith氏やアンプ・デザイナーのDoug Sewell氏らが分析し、現代でも手に入れやすいパーツを使用して新たなアンプとして昇華させたモデルです。非常にクリアでありながら耳にきつくない、滑らかで甘いブリティッシュ・トーンが魅力で、過酷なツアーにも耐える耐久性を備えています。ジョン・メイヤー・シグネイチャー・モデルとして発売されたギター「Silver Sky」シリーズもこれに近いコンセプトで製作されており、Paul Reed Smith氏、ひいてはPRS社の思想がしっかりと反映されたアンプであるといえます。


PRS社のページでは「”Authentic Hendrix” touring circuit」と紹介されている本機の回路ですが、エフェクターなどアンプと接続して使用されていた周辺機器にまで注目し研究、開発が行われたこだわりのサーキットです。
様々な真空管の組み合わせを試行した結果、最適な組み合わせとしてプリ管にはJJ ECC803S、パワー管にはNew Sensor EL35EHが装備されています。
トランスもStraight Edge製のカスタムメイド・トランスが採用されており、ジミが活躍した60年代後半のサウンドの再現に貢献しています。独自に設計された電源回路はノイズが非常に少なく、ヴィンテージ・アンプのようなノイジーなサウンドに悩むことはほとんどありません。
基板の材質にまでこだわって設計されており、2オンス銅の2mm厚両面スルーホール基板が採用されています。またオリジナルのアンプの仕様にリスペクトを払いつつ堅牢な造りとするため、独自のタグボード構造を用いています。
ツアー等に持ち運ぶ際には気になるシャーシですが、本機ではアルミニウムではなく、防腐処理済みの0.0060”のスチール製シャーシが採用されており、高い耐久性を得ることに成功しています。


本機の特徴的なコントロールとして、ONにするとミドルが強調されたサウンドに変化する「HIGH MID GAIN」トグル・スイッチが挙げられます。ジミのアンプにはアンプのトーンに大きく影響を与えるコンデンサが組み込まれているものとそうでないものがあり、本機では簡単にコンデンサの有無を切り替えることができるよう、このようなスイッチが設けられています。
「TREBLE VOLUME」と「BASS VOLUME」の2セクションに分かれたボリューム・コントロールは、「チャンネル・リンク（アンプのインプット同士を接続し、2つのサウンドをミックスする）」を再現したものです。


バック・パネルにはバイアス・ジャック、バイアス調節ノブが設けられているため、真空管の電圧測定や状態の確認のためにシャーシを外す必要はありません。