プロファイリングアンプ KEMPER PROFILER 徹底解説!2026年2月7日

KEMPER PROFILING AMPLIFIER

2011年に登場した未来のギターアンプ「KEMPER PROFILING AMPLIFIER(以下ケンパー)」。
既存のアンプを物理的にコピーするプロファイリングという唯一無二の機能をもって、ギターアンプ業界を震撼させた製品です。
ここ日本では2013年頃から話題になり、2015年あたりからプロ・アマ問わず導入されるようになりました。
ケンパーの登場と時を同じくしてギターアンプ業界では新製品のリリースがめっきりと減ったのは偶然ではないでしょう。
ケンパーの存在がギターアンプ界の世界地図を大きく書き換えたのは間違いありません。


完成されたアンプサウンドをコンパクトな機材で実現!KEMPER, strymon IRIDIUM, UAFX DREAM ’65, NUX Amp Academy 4つのアンプシミュレーター弾き比べ!
登場から10年以上。2020年以降に登場したアンプシミュレーターと比較しても遜色ない、クオリティの高いサウンド

KEMPERを…
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ケンパーはどんなアンプなのか?

KEMPER PROFILER 本体

ケンパーは、真空管ギターアンプとキャビネット、キャビネットへのマイク配置を「プロファイル」することで、アンプ/キャビネット/マイクの振る舞いや音響特性をそのままキャプチャーしてしまうという次世代のアンプです。
従来のマルチエフェクターやギター・プロセッサーで採用される”音声サンプリング”や”モデリング”などと違い、アンプや周辺器材の状態そのものを忠実にデータ化するというもので、理想的な環境でプロファイリングされたデータはオリジナルのアンプサウンドと遜色ない、全く同じと断言していい程のリアリティを実現しています。


Kemper Profiler Performance – Erlend Krauser plays the Profiler his way
ソロギターでもニュアンスを損なわない


Kemper Profiling Amplifier – Metal
迫真に迫る轟音サウンド


もうこうなったら8弦ギター弾いてみた!!
オケとの馴染み方も自然

「リグ」と呼ばれるアンプのコピーデータは、世界中のギタリストによって無数の種類がネット上にアップロードされており、それをダウンロードして使うことができます。
600Wのパワーアンプを搭載したモデルであれば、そのままアンプヘッドとして使用可能。
エフェクトを搭載し、マルチエフェクターを兼ねられることから、専用のコントローラーあるいはMIDIスイッチャーとともに運用することで、一台でサウンドの全てを賄えます。

入手が困難な伝説的ギターアンプ、フェンダーやマーシャルなどのヴィンテージ・チューブ・アンプ、100W大出力のアンプヘッドなどなど…ケンパーを手にいれることで、これらのサウンドがいくつでも手軽に持ち運びできます。

“モデリング”と”プロファイル”の違いについて見ていきましょう。

モデリング

Line6 POD 2.0 一世を風靡したLine6 POD 2.0

モデリングは電気回路によって数々の名機と呼ばれるギターアンプを忠実に再現する技術です。
マーシャルやフェンダー、VOXといったアンプをモデリングし、それを一つの機能として内蔵したアンプを「モデリングアンプ」と呼びます。
例えば、Line6のPODシリーズを代表とするアンプシミュレーターに内蔵されているアンプ群も、ギター・プロセッサーの最高峰に位置するFractal Audio SystemsのAxe-Fxシリーズも、各メーカーのギターアンプを忠実にモデリングしたものになります。

プロファイル

プロファイルはターゲットとなるアンプの音響特性を特殊な技術を用いてそのまま写し取ってしまう、Kemper社の独自技術です。
サウンドはもちろん、アンプ本体に使用しているパーツが持つ特性や挙動、マイクとの位置やキャビネットの特性など、セッティングや個体差までも正確にキャプチャーします。
取り込んだデータは「Rig(リグ)」と呼ばれ、細かくエディットすることが可能です。

プロファイリングはプロファイルしたいギターアンプとキャビネットを用意し、キャビネットにマイキングをしてギターを繋げる必要があり、理想的なサウンドを得るためにはある程度の知識と機材が必要となります。
しかしパソコン用の専用ソフトウェアを使えば、世界中のユーザーが作成したRigをダウンロードして使うことができます(後述)。

具体的なプロファイリングの流れ

プロファイリングをするためには

  • エレキギター
  • ケンパー本体
  • プロファイリングしたいギターアンプ
  • キャビネット・スピーカーからのサウンドを収音するマイク

といった機材が必要です。
各機材を接続したらマイクをキャビネットの前に立ててマイキングを行います。
その後、本体に用意されているrecordボタンを押すだけでプロファイリングが開始されます。
プロファイリングはUFOの効果音やホワイトノイズなどをケンパーが出力し、ターゲットとするギターアンプのサウンドをキャプチャーします。
プロファイルしたサウンドはいつでも呼び出すことが可能です。

ケンパーによるプロファイリングは以下の手順に沿って行われます。

第一フェイズ

まずは継続的なホワイトノイズを出してターゲットとするアンプの「周波数特性」を読み取っていきます。
周波数特性はアンプのゲインが上がるにつれて変化しますが、ケンパーはホワイトノイズの音量を段階的に上げていき、クリーンからドライブサウンドまで、アンプが作り出す全てのサウンドの周波数特性を読み取ります。

第二フェイズ

断続的なホワイトノイズを出してターゲットとするアンプの「歪むカーブ」を読み取っていきます。
どのポイントから音が歪み始めるのか、どういった歪み方をするのか、といった点を解析します。

第三フェイズ

数学的な法則をベースに生成されたテストトーンを送り、そのアンプが持つ「音色」を読み取っていきます。
また、スピーカー(キャビネット)やマイクの特性もここで読み取り、強調されます。

リファイン(微調整)

強弱付けてギターを弾くことで、歪みのニュアンスやタッチを整合する作業です。
リファインはできるだけ慎重に、ゆっくりと行うのがポイントです。
偏った弾き方をすると仕上がりが悪くなってしまうので注意しましょう。

ケンパーは何がすごいのか?:ケンパーでできること

ケンパーが出来ることをまとめてみました。

本物と遜色ないハイクオリティなサウンドでのレコーディング&パフォーマンス

ケンパーによってプロファイリングされたサウンドは、実機と聴き分けるのが難しいほどクオリティが高いものです。
出音はもちろん、音の歪み方からピッキングニュアンスまで、ほぼ全ての要素を正確にキャプチャーします。
そんなハイクオリティなサウンドを「マイキング不要」でレコーディングあるいはライブパフォーマンスで気軽に使えるのが魅力です。
パワーアンプ搭載モデルのケンパーがあれば、ライブ時にスピーカー・キャビネットに接続して使うこともできます。
パワーアンプ非搭載モデルのケンパーでも大丈夫、ミキサーに直接送った信号が「キャビネットを通したアンプの音」そのものだからです。

実際にいくつかのRIGを使った演奏動画を聞いてみましょう。

「Diezel VH4」をプロファイルしたRig

まずはモダンハイゲイン・アンプヘッド「Diezel VH4」をプロファイリングしたRigを使っての演奏です。


Gretsch Electromaticシリーズを、ギター博士が弾いてみた!
0:10〜1:09


ZEMAITIS CUSTOM SHOP METAL FRONT CS24MF FR4Cを弾いてみた!
0:20〜1:24、

フェンダーアンプをプロファイルしたRig


アルペジオの練習 6/6 【ギター博士】
Fender Twin ReverbをプロファイルしたRigで演奏


エリクサー OPTIWEBコーティング弦をギター博士が弾いてみた!
7:29〜8:13 Fender BASSMANをプロファイルしたRigで演奏

続いてフェンダーアンプをプロファイルしたもの。
現在では入手困難なアンプサウンドもこの通り簡単に得られます。
ダウンロードしたRigは、GAINや3バンドEQを使って音作りすることもできます(後述)。

世界中のユーザーが公開しているRig(≒ギターアンプ)が使える

Rig Manager 画面 Rig Manager を立ち上げた時の様子

ケンパーは「Kemper Rig Manager」と呼ばれる専用ソフトウェアを使ってインターネット上に公開されているリグデータを読み込ませることができます。
プロファイリングしたくても実機に触れる機会がない場合、リグをダウンロードしてUSB経由で送るだけで即座に使用することができるのです。
実際プロファイリングは面倒ですし、ネット上に公開されている無料リグデータだけでも途方もなく膨大な量(2017年2月時点で10,299点)となっているので、アンプ選びに困ることはほとんどないと言っていいでしょう。

優れた機材と環境でプロファイリングした有料のリグも用意されていますが、基本的には無料で公開されており、高いクオリティのリグは幾らでも見つかります。
またリグは日々追加されていくので、新しいアンプがないか頻繁にチェックしたくなります。

たくさんのギターアンプを持ち運ぶことができる

Rig Manager でのアンプ検索 Rig Managerで「Diezel」と検索しただけでもご覧の通り。ハイエンド・アンプもどんどん選ぶことができる

プロファイリングしたデータは本体に保存され、ボタン一つで切り替えることができます。
一度プロファイリングさえすれば、日頃から愛用しているマイアンプやスタジオに設置されている大型スタックアンプ、希少価値の高いブティック系アンプさえも持ち運ぶことができる訳です。
事実上、ケンパー一台で複数の真空管ギターアンプを持ち運べることになります。
またケンパーが置いてあるスタジオやライブハウスでは、あらかじめ用意した自分のRigをUSBで経由するだけで鳴らすことができます。

リグは自由に音作りができる

KEMPER のコントロール部 実際のギターアンプと同じようなコントロール系統が並ぶ

プロファイリングはアンプの音作りを済ませてから行いますが、キャプチャーしたサウンドはケンパー本体のコントロールによってさらに細かく音作りをすることが可能です。
ケンパー本体には「GAIN、BASS、MIDDLE、TREBLE、VOLUME」といったパラメータを操作するツマミが搭載されているので、例えば、各コントロールをフラットにした状態でプロファイリングしたサウンドも、本体のコントロールを調整することでローをカットする/ハイをブーストする/歪みの量を減らす/VOLUMEツマミで音量を下げる、と実際のギターアンプと同じように音作りを追い込めます。

またモジュレーション/リバーブ/ディレイなど高品位なエフェクターが用意され、それぞれ個別にON/OFFできます。
後からプラグインでエフェクトをかけることももちろんできますが、予めケンパー内でギターサウンドを仕上げておくこともできます。

ベースにも使える


ブリッジミュートを用いたリフの練習フレーズ【ギター博士】
ギターにはBOGNER Uberschallをプロファイリングしたリグで演奏、ベースも専用に用意されたメタル系リグで音作りしている。

意外と知られていませんが、ケンパーはベースアンプもプロファイルすることができます。
プロファイリングはギターアンプと同じ手順で行い、キャプチャーするサウンドは実機と遜色ありません。
もちろん専用ソフトウェアを使ってベースアンプ系のRigをダウンロードすることもできます。
ただし、「激しいスラップ奏法で使用するには不向き」とメーカーが公表しています。
ピック弾きや指弾きなど、一般的な奏法で使用することをオススメします。

ケンパーのアップデートの歴史

ケンパー最大の魅力のひとつは、2011年の発売から十数年にわたり、無償のOSアップデートで機能を拡張し続けてきたことにあります。
一度購入したハードウェアが、年を追うごとに新しいエフェクトやプロファイリング技術を獲得していく——ここでは、ケンパーがソフトウェア面でたどってきた主な進化の歩みを振り返ります。

Rig Managerとリグ共有エコシステム

Rig Manager のメイン画面 Rig Manager のメイン画面。膨大なリグをライブラリから検索・管理できる

専用ソフトウェア「Rig Manager」は、世界中のユーザーが公開する膨大なリグを検索・管理し、USB経由でケンパー本体へ転送するための要となるアプリです。
のちにエディタ機能が統合され、macOS/Windowsに加えてiOSからも、画面上でリグやエフェクトをドラッグ&ドロップしながら視覚的に音作りできるようになりました。

パフォーマンスモードとエフェクトの拡充

Rig Manager のエフェクトスロット 入力からアンプ、キャビ、空間系まで並ぶエフェクトスロット。各スロットを自由に差し替えて音作りできる

複数のリグをセットリスト単位でまとめ、フットスイッチで素早く切り替えられる「Performance Mode」を搭載。
モジュレーションや空間系をはじめとする内蔵エフェクトも継続的に追加・強化され、マルチエフェクター一台ぶんの機能を一台で完結できるようになっていきました。

2023年:オーディオインターフェース化とLiquid Profiling

OS 9.0でケンパーはUSBオーディオインターフェースとしても動作するようになり、リアンプを含むDTM環境との親和性が大きく向上しました。
さらに同年にはLiquid Profilingを導入。
静的なプロファイルに、モデリング由来の可変ゲインやトーンスタックの挙動を融合させることで、一つのプロファイルを実機さながらにツマミで変化させられる「生きたアンプ」へと進化させました。

2024〜2025年:エフェクトとモーフィングの強化

OS 12(2024年)ではスライサーやトレモロといった新しいエフェクトが追加され、続くOS 12.1(2025年)ではパラメーター・モーフィング、出力EQ、ステレオ出力などが拡充されました。
特にPROFILER Playerにとっては、上位機との機能差を埋める大きなアップデートとなりました。

2025年:PROFILER MK 2シリーズ

2025年5月、全機種を刷新する「PROFILER MK 2」シリーズが発表されました。
新世代のプロセッシングエンジンにより起動時間は約20秒に短縮され、同時に使えるエフェクトブロックは13から20へ拡大。
USBオーディオは8チャンネル化し、ルーパーは最大2分まで延長、PROFILER STAGEには軽量なアルミ部品が採用されました。
ノイズゲートやコンプレッサー、ワウ、コーラス、ダブルトラッカーなど、ペダルボードに不可欠なエフェクトも数多く追加されています。

PROFILING 2.0(OS 14):プロファイリングそのものの刷新

OS 14.0では、プロファイリング技術自体を作り直した「PROFILING 2.0」が導入されました。
10万を超える周波数ポイントを解析し、キャビネットの共鳴まで取り込んで、実機が持つ本来のゲイン量も自動で検出。
プロファイリング時のグラウンドリフトも内蔵され、より忠実で生々しいキャプチャーが可能になりました。
このアップデートは全機種に無償で提供され、これまで再生中心だったPROFILER Playerも、上位機と同等のクオリティでプロファイル作成に対応するようになっています。

ケンパーのラインナップについて

現在のケンパーは「PROFILER MK 2」世代へと移行しており、フロアタイプ・卓上ヘッド・ラックという3つの形状に、専用スピーカーやコントローラーを加えたラインナップで展開されています。
いずれの機種も中核となるプロファイリング・エンジンとサウンドは共通で、形状・操作系・パワーアンプの有無によって選び分けるかたちになります。
パワーアンプ搭載モデル(PowerHead/PowerRack)はスピーカーキャビネットを直接駆動でき、非搭載モデルはミキサーやパワーアンプと組み合わせて使用します。

機種 形状 パワーアンプ フット操作 主な用途
PROFILER Stage フロアボード 非搭載 本体フルスイッチ 足元で完結するライブ運用
PROFILER Player コンパクトフロア 非搭載 本体3スイッチ 省スペース・宅録・サブ機
PROFILER Head / PowerHead 卓上ヘッド PowerHeadは600W内蔵 別売Remote対応 スタジオ〜ライブの定番
PROFILER Rack / PowerRack 3Uラック PowerRackは600W内蔵 別売Remote対応 ラックシステム構築

表:KEMPER PROFILER 主要機種の比較

フロアタイプ

足元ですべてを完結させたいギタリスト向けの形状です。
ライブでの運用しやすさや省スペース性を重視する場合は、まずこのタイプから検討すると良いでしょう。

卓上ヘッド・ラックタイプ

登場時からケンパーの定番として使われてきた形状です。
それぞれパワーアンプ搭載/非搭載の2モデルが用意されており、用途に合わせて選びます。

専用スピーカー・アクセサリー

ケンパーのサウンドを最大限に引き出すための、専用キャビネットとコントローラーです。


実機を用意せず高品質なアンプサウンドを得るには、これまではモデリングが一般的でした。
しかしケンパーの登場、そしてLiquid ProfilingやPROFILING 2.0へと続く進化によって、プロファイリングはモデリングの可変性まで取り込みながら、いまなお唯一無二の選択肢であり続けています。