未来のギターアンプを手に入れよう!プロファイリングアンプKEMPERについて2015年10月7日

未来のギターアンプ:KEMPER PLOFILING AMPLIFIER

2011年に登場しアンプ業界を震撼させた未来のギターアンプ「KEMPER PROFILING AMPLIFIER(以下ケンパー)」。ここ日本では2013年頃から話題になり、2015年あたりからプロ・アマ問わず導入されるようになりました。ケンパーの登場と時を同じくしてギターアンプ業界では新製品のリリースがめっきりと減ったのは偶然ではないでしょう。ケンパーの存在がギターアンプ界の世界地図を大きく書き換えたのは間違いありません。

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ケンパーはどんなアンプなのか?

ケンパーは、真空管ギターアンプとキャビネット、キャビネットへのマイク配置を「プロファイル」することで、アンプ/キャビネット/マイクの振る舞いや音響特性をそのままキャプチャーしてしまうという次世代のアンプです。従来のマルチエフェクターやギター・プロセッサーで採用される”音声サンプリング”や”モデリング”などと違い、アンプや周辺器材の状態そのものを忠実にデータ化するというもので、理想的な環境でプロファイリングされたデータはオリジナルのアンプサウンドと遜色ない、全く同じと断言していい程のリアリティを実現しています。

入手が困難な伝説的ギターアンプ、フェンダーやマーシャルなどのヴィンテージ・チューブ・アンプ、100W大出力のアンプヘッドなどなど…ケンパーを手にいれることで、これらのサウンドがいくつでも手軽に持ち運びできます。

ソロギターでもニュアンスを損なわない

迫真に迫る轟音サウンド

ここで”モデリング”と”プロファイル”の違いについて見ていきましょう。

モデリング

Line6 POD 2.0 一斉を風靡したLine6 POD 2.0

モデリングは電信回路によって数々の名機と呼ばれるギターアンプを忠実に再現する技術です。マーシャルやフェンダー、VOXといったアンプをモデリングし、それを一つの機能として内蔵したアンプを「モデリングアンプ」と呼びます。例えば、Line6のPODシリーズを代表とするアンプシミュレーターに内蔵されているアンプ群も、ギター・プロセッサーの最高峰に位置するFractal Audio SystemsのAxe-Fxシリーズも、各メーカーのギターアンプを忠実にモデリングしたものになります。

プロファイル

プロファイルはターゲットとなるアンプの音響特性を特殊な技術を用いてそのまま写し取ってしまう、Kemper社の独自技術です。サウンドはもちろん、アンプ本体に使用しているパーツが持つ特性や挙動、マイクとの位置やキャビネットの特性など、セッティングや個体差までも正確にキャプチャーします。取り込んだデータは「Rig(リグ)」と呼ばれ、細かくエディットすることが可能です。

プロファイリングはプロファイルしたいギターアンプとキャビネットを用意し、キャビネットにマイキングをしてギターを繋げる必要があり、理想的なサウンドを得るためにはある程度の知識と機材が必要となります。しかしパソコン用の専用ソフトウェアを使えば、世界中のユーザーが作成したRigをダウンロードして使うことができます(後述)。

具体的なプロファイリングの流れ

プロファイリングをするためには

  • エレキギター
  • ケンパー本体
  • プロファイリングしたいギターアンプ
  • キャビネット・スピーカーからのサウンドを収音するマイク

といった機材が必要です。各機材を接続したらマイクをキャビネットの前に立ててマイキングを行います。その後、本体に用意されているrecordボタンを押すだけでプロファイリングが開始されます。プロファイリングはUFOの効果音やホワイトノイズなどをケンパーが出力し、ターゲットとするギターアンプのサウンドをキャプチャーします。プロファイルしたサウンドはいつでも呼び出すことが可能です。

ケンパーによるプロファイリングは以下の手順に沿って行われます。

第一フェイズ

まずは継続的なホワイトノイズを出してターゲットとするアンプの「周波数特性」を読み取っていきます。周波特性はアンプのゲインが上がるにつれて変化しますが、ケンパーはホワイトノイズの音量を段階的に上げていき、クリーンからドライブサウンドまで、アンプが作り出す全てのサウンドの周波数特性を読み取ります。

第二フェイズ

断続的なホワイトノイズを出してターゲットとするアンプの「歪むカーブ」を読み取っていきます。どのポイントから音が歪み始めるのか、どういった歪み方をするのか、といった点を解析します。

第三フェイズ

数学的な法則をベースに生成されたテストトーンを送り、そのアンプが持つ「音色」を読み取っていきます。また、スピーカー(キャビネット)やマイクの特性もここで読み取り、強調されます。

リファイン(微調整)

強弱付けてギターを弾くことで、歪みのニュアンスやタッチを整合する作業です。リファインはできるだけ慎重に、ゆっくりと行うのがポイントです。偏った弾き方をすると仕上がりが悪くなってしまうので注意しましょう。

ケンパーは何がすごいのか?:ケンパーでできること

ケンパーが出来ることをまとめてみました。

本物と遜色ないハイクオリティなサウンドでのレコーディング&パフォーマンス

ケンパーによってプロファイリングされたサウンドは、実機と聴き分けるのが難しいほどクオリティが高いものです。出音はもちろん、音の歪み方からピッキングニュアンスまで、ほぼ全ての要素を正確にキャプチャーします。そんなハイクオリティなサウンドを「マイキング不要」でレコーディングあるいはライブパフォーマンスで気軽に使えるのが魅力です。パワーアンプ搭載モデルのKEMPERがあれば、ライブ時にスピーカー・キャビネットに接続して使うこともできます。パワーアンプ非搭載モデルのKEMPERでも大丈夫、ミキサーに直接送った信号が「キャビネットを通したアンプの音」そのものだからです。

実際にいくつかのRIGを使った演奏動画を聞いてみましょう。

「Diezel VH4」をプロファイルしたRig

まずはモダンハイゲイン・アンプヘッド「Diezel VH4」をプロファイリングしたRigを使っての演奏です。


Gretsch Electromaticシリーズを、ギター博士が弾いてみた!
0:10〜1:09


ZEMAITIS CUSTOM SHOP METAL FRONT CS24MF FR4Cを弾いてみた!
0:20〜1:24、

フェンダーアンプをプロファイルしたRig


アルペジオの練習 6/6 【ギター博士】
Fender Twin ReverbをプロファイルしたRigで演奏


エリクサー OPTIWEBコーティング弦をギター博士が弾いてみた!
7:29〜8:13 Fender BASSMANをプロファイルしたRigで演奏

続いてフェンダーアンプをプロファイルしたもの。現在では入手困難なアンプサウンドもこの通り簡単に得られます。
ダウンロードしたRigは、GAINや3バンドEQを使って音作りすることもできます(後述)。

世界中のユーザーが公開しているRig(≒ギターアンプ)が使える

Rig Manager Rig Manager を立ち上げた時の様子

ケンパーは「Kemper Rig Manager」と呼ばれる専用ソフトウェアを使ってインターネット上に公開されているリグデータを読み込ませることができます。プロファイリングしたくても実機に触れる機会がない場合、リグをダウンロードしてUSB経由で送るだけで即座に使用することができるのです。実際プロファイリングは面倒ですし、ネット上に公開されている無料リグデータだけでも途方もなく膨大な量(2017年2月時点で10,299点)となっているので、アンプ選びに困ることはほとんどないと言っていいでしょう。

優れた機材と環境でプロファイリングした有料のリグも用意されていますが、基本的には無料で公開されており、高いクオリティのリグは幾らでも見つかります。またリグは日々追加されていくので、新しいアンプがないか頻繁にチェックしたくなります。

たくさんのギターアンプを持ち運ぶことができる

KEMPERアンプ検索 Rig Managerで「Diezel」と検索しただけでもご覧の通り。ハイエンド・アンプもどんどん選ぶことができる

プロファイリングしたデータは本体に保存され、ボタン一つで切り替えることができます。一度プロファイリングさえすれば、日頃から愛用しているマイアンプやスタジオに設置されている大型スタックアンプ、希少価値の高いブティック系アンプさえも持ち運ぶことができる訳です。事実上、ケンパー一台で複数の真空管ギターアンプを持ち運べることになります。
またケンパーが置いてあるスタジオやライブハウスでは、あらかじめ用意した自分のRigをUSBで経由するだけで鳴らすことができます。

リグは自由に音作りができる

KEMPERのコントロール部分 実際のギターアンプと同じようなコントロール系統が並ぶ

プロファイリングはアンプの音作りを済ませてから行いますが、キャプチャーしたサウンドはケンパー本体のコントロールによってさらに細かく音作りをすることが可能です。ケンパー本体には「GAIN、BASS、MIDDLE、TREBBLE、VOLUME」といったパラメータを操作するツマミが搭載されているので、例えば、各コントロールをフラットにした状態でプロファイリングしたサウンドも、本体のコントロールを調整することでローをカットする/ハイをブーストする/歪みの量を減らす/VOLUMEツマミで音量を下げる、と実際のギターアンプと同じように音作りを追い込めます。

またモジュレーション/リバーブ/ディレイなど高品位なエフェクターが用意され、それぞれ個別にON/OFFできます。後からプラグインでエフェクトをかけることももちろんできますが、予めケンパー内でギターサウンドを仕上げておくこともできます。

ベースにも使える


ブリッジミュートを用いたリフの練習フレーズ【ギター博士】
ギターにはBOGNER Uberschallをプロファイリングしたリグで演奏、ベースも専用に用意されたメタル系リグで音作りしている。

意外と知られていませんが、ケンパーはベースアンプもプロファイルすることができます。プロファイリングはギターアンプと同じ手順で行い、キャプチャーするサウンドは実機と謙遜ありません。もちろん専用ソフトウェアを使ってベースアンプ系のRigをダウンロードすることもできます。ただし、「激しいスラップ奏法で使用するには不向き」とメーカーが公表しています。ピック弾きや指弾きなど、一般的な奏法で使用することをオススメします。

プロミュージシャンもバシバシ使っている…?

ケンパー使用プロミュージシャン一覧

・布袋寅泰
・田原健一/Mr.Children
・TK/凛として時雨
・大村孝佳/BABYMETAL
・スティーヴ・ルカサー/TOTO

ケンパーのラインナップについて

2018年7月現在のところ、大きく分けてアンプヘッド・タイプ/ラック・タイプの2種類が存在し、それぞれにパワーアンプ搭載/非搭載モデルが存在、合計4種類のラインナップとなっています。それぞれパワーアンプ搭載モデルの方が割高になっていますので、用途に合わせて選ぶと良いでしょう。

POWER HEAD / HEAD

POWER HEAD

POWER HEAD」はお馴染みのランチボックス・タイプで、600Wのパワーアンプが内蔵されています。オーディオインターフェースを経由してレコーディングできるのはもちろん、ギター用のスピーカーキャビネットに接続して実機のアンプヘッドとまったく同じ感覚で使用することができます。重量6kgと軽量なので、ケンパーを頻繁に持ち歩きたい方、ライブパフォーマンスで使いたい方にオススメです。

HEAD」はパワーアンプ非搭載のモデルとなります。キャビネットに繋いで鳴らすためにはHEADと別にパワーアンプを用意する必要があるので注意しましょう。基本的な機能は備わっているため、レコーディングで使用するギタリスト向けとなります。

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POWER RACK / RACK

KEMPER PROFILER RACK

3Uサイズのラックタイプとなります。「POWER RACK」は600Wのパワーアンプを内蔵しており、ゲインを除くノブのLED/エフェクト・セクションのノブを省略している他は上記のPOWERHEADと同等の機能を持っています。ラックでシステムを組んでいるギタリストにも良いでしょう。

RACK」は3Uサイズのラックタイプ、パワーアンプ非搭載モデルです。レコーディングで使用するギタリスト向けとなります。

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その他サイドアイテム

Kemper Profiler Remote:KEMPERを足元でコントロールできる専用フットコントローラー
PROFILER REMOTE:KEMPERで利用できる「リグ」をプレビュー/タグ付け/管理することができるソフトウェア
KEMPER CASE:Profiler Head専用キャリングバッグ

POWER HEAD HEAD POWER RACK RACK
エフェクト
600Wパワーアンプ X X
カラー ブラック ブラック/ホワイト ブラック ブラック
重量 6.50 kg 5.32 kg 6.18 kg 5.00 kg
価格 ¥ 297,864 ¥ 213,840 ¥ 263,304 ¥ 213,840

表:KEMPER4機種の比較(価格は2018/7時点:サウンドハウス調べ)


実機を用意せず高品質なアンプサウンドを得るには、これまではモデリングが一般的でした。しかしケンパーの登場で、プロファイリングという手法も見逃せなくなるでしょう。

最終更新日 : 2018/07/11

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