《今振り返る》Fenderアンプの系譜、種類と選び方2025年10月30日

フェンダーアンプの系譜

エレクトリックギターのメーカーと聞いて真っ先に名前の挙がる存在、これはフェンダーとギブソンであることに異論の余地はないでしょう。両社はエレクトリックギター以外にも偉大な製品を送り出していることで共通しています。
ギブソンがレスポールを筆頭としたエレクトリックギターに加えて、優れたアコースティックギターを数多く送り出している一方、フェンダーはアコースティックギターのイメージこそほぼ皆無ではあるものの、フェンダーローズや豊富なアンプ群など、電子楽器の礎ともなる製品で歴史にその名を刻んでいます。
今回はフェンダーの送り出した歴史的なギターアンプの銘機たちに迫ってみましょう。


  1. フェンダーアンプの歴史
  2. 現行モデル
  3. まとめ

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フェンダーアンプの歴史

ストラトキャスターやテレキャスターを世に送り出したレオ・フェンダーがこの世に生を受けたのは1909年のこと。
彼は高校時代から趣味でラジオの製作や修理を行っており、短大入学後は会計学を専攻し、一時期は会計を仕事とするものの、1938年には自身の店を持ち独立。
カリフォルニア州フラートンにおいて「Fender’s Radio Service」なる店を開き、ラジオ受信機や音響機器の修理などを中心とした業務を行い始めます。
1945年、レオは友人のクレイトン・カウフマンと共に、電子楽器を専門とする「K&F Manufacturing」を設立。
スティールギターとアンプの製造を始めます。
この時期に開発されたものはフェンダー社のラインナップに載るよりもさらに前のものですが、レオ・フェンダーの関わった最初のアンプだということができるでしょう。
やがてカウフマンとも袂を分かち、1947年には社名を「Fender Electric Instrument Company」へと変更。
さらなる新モデルの開発へと舵を切っていきます。

ツイード期(1947~)

フェンダー・ツイード・アンプ Fender Music Backstageにて撮影

当時の旅行カバンなどによく使われたツイード(スコットランドの毛織物)が外装に使われたアンプ。
フェンダーの最初期のアンプ群を指す言葉としてツイードアンプという名称が定着しています。
これらのアンプが活躍したのは主に50年代。
シンプルでストレートな音が特徴で、現在ではロカビリーやオールディーズと呼ばれるものに代表される、ロックンロール黎明期のサウンドにその音を多く聴くことが出来ます。

10年超続くツイード期には、最初期の「TVフロント」(見た目がテレビのように見えることからこう呼ばれる)、続く「ワイドパネル」、後期の「ナローパネル」と主に三つの区切りに分けられます。
時代を追うごとにエレクトリックギターに特化した大出力が得やすい仕様に変わっていき、現在、ツイード期のアンプとして一口に語られる場合、57年~59年頃のモデルを指すことが多いようです。

これらのアンプ群はパワー管とスピーカーに様々な組み合わせの違いがあり、最終的には10種類以上のラインナップが開発されています。
その中でも、特に現在においてなお愛される数種のモデルをチェックしてみましょう。

ブラウンフェイス(1959~1964)

ツイード期からブラックフェイス期の間に位置する過渡期的なモデル。
つまみがアンプ前面に配置されるようになり、外装もツイードから革張り(トーレックス)にチェンジし、後のブラックフェイス期のものと似通ったルックスになっています。
薄茶色の「Brown」と、より白っぽい外装に白いつまみを備える「Blonde」という2種が存在し、それぞれ「ブラウントーレックス」「ホワイトトーレックス」等という名で呼ばれることもあります。

ツイードの次世代にあたるモデルチェンジではありますが、ツイード期のラインナップが全てこの移行を経たわけではなく、Brown仕様に刷新されたもの(TwinとVibrasonic以外の全機種)、Blonde仕様に刷新されたもの(Twin、Vibrasonicその他数種)、Brown、Blonde両方に刷新されたもの、あるいは全く刷新されなかったものと、ばらばらの進化を遂げており、フェンダー社も完全なフルモデルチェンジと考えていたわけではなく、実験的な要素を多分に含んでいたことが窺えます。

ブラックフェイス(黒パネ)期(1963~1967)

Deluxe Reverb Deluxe Reverb復刻モデル:パネルや外装もオールブラック

黒い外装に身を包み、コントロール類の配置されたパネル部が黒いものを通称ブラックフェイス期と呼んでいます。
このルックスこそが現在のフェンダーアンプにそのまま受け継がれており、フェンダーアンプと聞いて真っ先に連想する外観でもあります。
ルックスのみならず、サウンドの印象もブラックフェイス期のものがもっとも強く、ほとんど歪まない暖かみのあるクリーントーンのイメージは、まさにこの時期のTwin Reverbなどによるものです。
この時期からスプリングリバーブを搭載したモデルが相次いで発表され、モデル名+”Reverb”と付いているものが大多数であり、いずれもスプリングリバーブ搭載機です。

ツイード期から引き継いだものを含め、10種以上のラインナップがありますが、ここではそのうちの数種をチェックしてみます。

シルバーフェイス(銀パネ)(1967~1981)

Fender Princeton Reverb コントロールパネルが銀色となった「’65 Princeton Reverb Reissue」

レオ・フェンダーの健康問題により、フェンダー社の権利はCBSに買い取られ、ここからフェンダーアンプ受難の日々のはじまりとなります。
CBSはそれまでのルックスを改変し、コントロール部のパネルを銀色のアルミ製にして、ロゴのフォントなどもいくつか変えていきました。
この時期のモデルをシルバーフェイス期(クロームフェイス期とも)と呼称し、ブラックフェイス期の次のシリーズとして知られています。

特徴的な差と言えるのは、いくつかのモデルにマスターボリュームとブーストスイッチが付加され、出力がさらにアップしているところでしょう。
68年製は使いやすさもあって評価が高く、リイシューも積極的に行われています。

シルバーフェイス期Princeton Reverb復刻モデル:’68 Custom Princeton Reverb
シルバーフェイス期Deluxe Reverb復刻モデル:’68 Custom Deluxe Reverb
シルバーフェイス期Twin Reverb復刻モデル:’68 Custom Twin Reverb
Vibrolux Reverb復刻モデル:’68 Custom Vibrolux Reverb

しかし、時が経つに従って、銘機と呼ばれるブラックフェイス期のものとはかけ離れ、内部仕様は激変していきます。
CBSには元々ギターアンプ製作のノウハウはなく、オーディオパーツを流用したりするなど、エレクトリックギターに不可欠とも言える”歪み”を取り去ってしまうような改悪を繰り返しました。
当時はロックの全盛期だったことも影響し、ハイゲインなマーシャルやメサブギーがヒットする裏でフェンダーアンプは使えないという評価を下されるに至り、一時期は販売数も激減します。

IIシリーズ(1982~1986)

以上のような経緯を辿って瀕死に陥ったフェンダーブランドのアンプが、てこ入れを図るために新たなラインナップとして立ち上げたシリーズです。
当時アンプのモディファイで知名度を上げていたポール・リヴェラを迎え、新しく回路を作り直し、ルックスもブラックフェイス期のものとほぼ同じものに戻されています。
Champ II、Princeton Reverb II、Deluxe Reverb II、Twin Reverb IIなどが発売され、いずれも2チャンネル仕様で、クリーンとリードの切替が可能なのが特徴です。

CBSはこのシリーズでフェンダーアンプの再起を図りましたが、売り上げは伴いませんでした。
また、アンプだけでなく、ギター本体の方も品質低下が避けられず、世界的なストラトキャスターの模造品の横行もあり、経営を保つのが困難になっていきます。
フェンダーは再びCBSの手を離れ「Fender Music Instruments」に戻りました。

Red Knob(赤ノブ)(1987~1994)

CBSの手を離れたフェンダーは、ウイリアム・シュルツ率いるFender Music Instrumentsによって再興され、1985年に稼働を始めたカリフォルニアのコロナ工場を新たな生産拠点に据えていきます。
そこで、原点回帰を命題として新しく作り出したシリーズが、この赤いノブを持つ外観が印象的なシリーズ。
それまでのものとはまるで一新されたルックスがフェンダーの新たな出発を表しているようです。
Super、Concert、The Twinという3機種が展開され、とくにThe Twinは銘機の誉れ高く、完成度の高いアンプとなっています。

リイシューシリーズ(1990~現行)

赤ノブシリーズの後に登場したリイシューシリーズ。
ギターアンプ界全体においてリイシューが流行しだした時期というのもありますが、まさに原点回帰をそのままやってのけた発想です。
1990年、フェンダー初のリイシューとして59年製ツイードBassmanと63年製ブラウンフェイス期Vibroverbの2機種が登場し、65年製ブラックフェイス期Twin Reverbは数年遅れて加わりました。
このうち’59 Bassmanと’65 Twin Reverbは、現在も現行ラインナップに残り続けています(後述)。

Vibro-King(カスタムシリーズ)(1993~、2013)

Fender Vibro-King Custom

93年、原点回帰を合い言葉にしながら、新しい発想でヴィンテージ・フェンダーのサウンドが新しく産み落とされました。
カスタムと名付けられたシリーズから登場したVibro-Kingは、昔ながらの単板木材を用いて、配線も全てハンドワイヤリングで製作され、ツイード期とブラックフェイス期の長所をうまく併せ持ったようなサウンドが特徴の一品。
フェンダーの監修の元に仕上げられたオリジナルのスピーカーを搭載し、63年頃のアンプに搭載されたオリジナルのリバーブを装備。
フェンダー史上でも最高峰のアンプと称され、大絶賛を浴びました。
2013年には20周年記念モデルが発表され、再び脚光を浴びました。

現在はレギュラーのカタログモデルからは外れ、FSR(特注・限定)での少量生産が中心となっています。

Fender Vibro-King Custom